ジャズのバラード弾いてみたいけど、どうも難しい・・・
とりあえず、何からやれば良いんでしょうか?
と思われるのでは無いでしょうか。
と言う事でジャズのバラードが出来る様になる過程を
と言う4つのステップにまとめて、必要な事を解説したいと思います!
ジャズバラードのテンポ設定の変遷
まずジャズのバラードと言ってもテンポがいろいろあります。
まずはこれを知りましょう。
これは時代によって様々で、全てニュアンスやタイムフィールが異なります。
時代ごとに代表的な演奏をピックアップしてどんな遍歴を追ってきているのか見ていきましょう。
現在の雛形となる1930年代
まずJazz Balladの名曲Body and Soulを聴いてみましょう。
この時代は今演奏する形態でジャズのバラード演奏が確立した時代と言っても良いと思います。
どうですかね
今聞くと速いです!!
Coleman HoekinsはBPM=94位なので今だとバラードって言うかミディアムスローみたいなテンポ。
Bilie Holydayはそれよりは遅いですがそれでもBPM=82位です。昔ってバラードのテンポ速かったんですね。
こっから現代に向かって遅くなっていくと言う理解で良いと思います。
発展させた1940年代
Bebopの王様Charlie Parkerの演奏を聴いてみましょう。先ほどの演奏からちょうど10年後位ですね。
最初にトランペット吹いてるのはMiles Davisですね。これは1947年の演奏でBebop黄金期ですが、この時代だとBPM=68位でしょうか。
30年代よりは遅くなり、よりサウンドは複雑になっています。
今からするとまだ速いと言う気もしますが、この位のテンポ感が好きで演奏する人も沢山います。
マイルスが決定版を作った1950年代
ジャズのバラードの決定版となったマイルスを聴いてみましょう。
言わずと知れた大名盤ですが、この演奏は1956年でBPM=60位です。
そしてこの演奏がほぼ決定打となりこの後数十年間はバラードは昔っぽくやらないのであれば60位と言う時代が続きます。
インパクトと言うか決定版に足る説得力あったんですね。
新しい表現を開拓した80年代
長年BPM=60時代が続いたバラードのテンポにも変革者が現れます。
Kieth Jarrettですね。
キース自身は正直なんでも出来る超天才って感じで、このテンポのバラードばかりって訳じゃ無くて、どんなテンポでもなんでも来いで自由に歌える天才なんですが、この演奏は遅いですね。
BPM=52位です。今となっては想像でしかありませんが、当時リアルタイムで聴いてたら凄く新鮮に感じたんじゃないかなあ?と想像します。
ここまで遅くて緊張感あってキレのある演奏ってこの年代までは余り聞かない気がします。
新しいオピニオンリーダーが現れる90年代
超遅のバラードはキースの得意芸って訳じゃなく、色んな演奏の一つと言う感じだったんですが、超遅のバラードを専売特許にしてバラードのテンポ設定に新しいページを書き加えた人がいます。
Brad Mehldauです。この演奏はBPM=52位ですが、メルドーはこの後も超スローなバラードを演奏し続けます。
これによってジャズバラードのテンポがバージョンアップされBPM=60に加えてBPM=52と言う超遅の世界も始まりました。
メルドーのバラードは
超遅だけど緊張感あって、ソロのも安易に倍テンにいかず、自由度高いのが特徴です。
この後はメルドーの演奏に続いて特に若手のジャズミュージシャンが超遅でバラードを演奏しています。
まず自分が好きなムード、テンポを決める
バラードと一口に言っても様々なテンポや曲調、ムードが存在しましたね。
ですので、まず曲そして自分が好き、やりたいテンポやムードを設定します。
例えばミディアムテンポとかならそんなに考えなくても良いと思いますが
バラードなら必要です。何故ならBPM=5や10違ったら別世界になってしまうからです。
とりあえず色んな演奏を聞いて、自分ならこれをやりたいなと思う演奏を決めてみましょう。
同時代やその曲の代表的な演奏を知っとこう
例えば貴方がやりたい曲がDarn That Dreamだった場合、色んな年代のこの演奏を色々聞いてみます。
やりたい曲、テンポ、ムードが決まったらコピーしてみる
曲を決めて、やりたいテンポ、ムードも決まったら、色々ある過去の演奏からこれが一番やりたいと思うコピーしてみましょう。
ここは順番が逆でも良いですね。
やりたい演奏を決めて、その曲の色んな年代の音源を聞いてみるでも良いです。
何故コピーかと言うとバラードの演奏と言うのは
からです。
取り敢えず先人の鉄板の演奏に学ぶのが近道です。
実際のコピーの例
私もBPM=52位のバラードを普段やっていまして、このテンポへの理解を深めたいので
Lage LundのStairway to the Starsをコピーしました。
この演奏もBPM=52の超遅なんですよね。
超遅だけど緊張感あって、ソロの譜割りも安易に倍テンにいかず、自由度高い
って言うBrad Mehldau以降のバラードの特徴は踏襲されている演奏だと思います。
その辺のタイムとか譜割りのフィールを体で覚えたかったので完コピしました。
譜割りの複雑さも4分、8分、3連、16分、5連符、6連符、7連符、32分
が満遍なく出てくる感じでしたね。
これはギタートリオ演奏ですので、メロディーのハーモナイズやソロ時のコンピングの入れ方なんかも勉強になりますね。
コピーするとそんな事も良く分かります。
コピーしたら同じ方法で2曲目をやろう
先ほどStairway to the Starsをコピーしましたが、このBPM=52のバラードをある程度自分の物に出来れば
例えばBody and Soulを同じテンポ、ムードでやってみます。
メロディーとコードと演奏のムードだけ移し替えて行く様な感じですね。
何度も演奏して
- 似た様なメロディーのフェイクをして
- 似た様なソロの譜割りでソロを取り
- 似た様な位置でコンピング入れる
と言う事をする訳ですね。
難しいのはテンポとムードの設定と、それに付随したテーマの処理、譜割りの自由度の高さなので
それをある程度理解出来て演奏出来れば二曲目からは楽になります。
2曲目が出来たら人に披露しよう!
当たり前だけど完コピをライブやセッションで演奏出来ませんよね。
でも先ほどコピーしたStairway to the Starsの方法論で弾いたDarn That Dreamならそれは自分の演奏なので人に披露出来ます。
例えばジャムセッションでBill Evanzの完コピ状態でMy Foolish Heratを弾いたら
まぁ練習なら家でどうぞ、みたいな感じだと思うんですけど、
このテンポとムード、タイムフィールとフレーズの構成で演奏した他のジャズバラード曲だったら貴方の演奏だから素晴らしいじゃないですか。
拍手喝采間違いなし!
それをやってみてください!
最初は真似が出来れば上等だって事ですね。
特にバラードなんかでオリジナリティ出せたり、最初から自分で全部メロディーのフェイクからヴォイシングから組み上げて弾ける人はそうそういません。
それが出来る様に修練していたら人前でバラードを演奏する時が10年後になってしまいます。
まずは完コピで1曲、成り切って2曲目です。
是非やってみて下さい!
番外編:バラードのイントロ頼む時、頼まれた時に気を付ける所
もうひとつ、最後にこのトピックも触れておきます。
この様にですね、ジャズのバラードって人それぞれやりたい感じのテンポってある訳です。
そしてヴォーカルと演奏しない限りはバラードって誰かがイントロ初めてその人が出したテンポで始まるって場合が多いんですけど
これあるんですよね。
例えばテンポ60代後半位のオールドスクールな感じでやりたい人なのに、テンポ52でイントロ出したり(実際やりました。凄い嫌そうな顔をしていた 笑)
またはその逆でイントロ出して貰ってテンポ出たら
とかある訳ですよ
テンポが5違ったら別世界ですからね。そのテンポで出来る事がこっちで出来ないとか、自分がやりたいムードはそのテンポじゃ難しいとかある訳ですね。
自分はちゃんと伝える様にしてます。
参考になれば嬉しいです!