私が普段やっているジャンルでもあるコンテンポラリージャズの中から
と言うアルバムをコンテンポラリージャズギタリスト15人に絞り2枚づつ紹介します。
是非聴いてみてください!
モダンジャズ含めたジャズギター全体のこれは知っておきたい!と言う名盤はコチラをご参照下さい!
Pat Metheny
Bright Size Life
コンテンポラリージャズギターの始まりと言った感じのあるアルバムです。
発表年は1976年で、Pat Methenyはなんと21歳と言う凄い天才ぶりを発揮しています。
この後に80年代までのコンテンポラリージャズギタリスト に共通する概念
のハイブリッドであると言う点に置いてそれ以前のギタリストとは違うスタイルや音楽になっています。
それ以前はウェスモンゴメリーやパットマルティーノ世代になる訳で、ジャズ以外の影響やスタイルが明確に見える・・・と言うのが新しかった訳ですね。
The Road to You
Pat Metheny Groupで何枚もの名盤があるので、一枚あげるのは難しいですがここは自分が一番聞いたアルバムを挙げたいですね。
名曲てんこ盛りで全て名演、と言う奇跡の様なアルバムです。多分自分が人生で一番聞いたアルバムと言うのがこれだと思いますね。
Travelsが初期のライブアルバムであそこが第一期の集大成、こちらが第二期の集大成みたいな感じですね。
とにかくオススメ、必聴です。
John Scofield
Live
John Scofieldの1977年のライブ盤です。
この時代特有の荒削りでゴリゴリに盛り上がるジャズと言う感じですね。
この時代のJohn Scofieldはマイルスからも「彼はアウトマスターだ!」とか言われたのもあって滅茶苦茶アウトします。
ビバップの語法でちょっとレイドバックしたタイムなんだけど、歪んだギターでグイグイにアウトして行くと言う凄いスタイルです。
Meant to Be
John Scofieldは所属していたレーベルごとにカラーが分けやすいギタリストでもあるんですが
先に紹介したLiveはEnjaレーベル、その次にGramavisionレーベル時代があります。
この時代のアルバムも名盤が多いのですが、自分が好きなのはGramavisionの後のBlue Note時代ですね。
とても完成度の高い曲と演奏、常に緊張感が高いアンサンブルとジョンスコならではの音楽が展開されています。
この時代はジョーロバーノをフロントに迎えてピアノレスで活動していますが、伴奏のアプローチとかも独特です。
Mike Stern
Upside Downside
Miles Davisのバンドにも参加したギタリストです。ジョンスコの前だったと思います。
トレードマークのテレキャスターとYamaha SPX-90と言うエフェクターを使いアンプをステレオにした特有のサウンドで未だに弾いています。
30年以上まったく同じサウンドと言うのも珍しいですね。
55barでやっているライブは未だに人気でNY Jazzの定番の様になっています。私も見ましたが素晴らしかったです。
途中からディストーション踏んでペンタ1発で弾きまくるみたいなのが定番なんですが、あれは日本で見るよりも滅茶苦茶受けてました。
- 毎回同じサウンドで
- 毎回同じ展開で
- 毎回同じ曲をやる
と言うのはアメリカ人の一部の層に凄い刺さると言うか、恐らく30年以上同じ事やっているのだと思いますが毎回55barのマイクは事前に並んで整理券を貰わないと見れない位人気です。
このアルバムは初期の集大成と言ったアルバムでその後も何度も演奏される曲をやっています。
オススメです。
Standards
ジャズギタリストなら一枚はリリースしたいスタンダード集ですね。
超有名スタンダードを演奏しています。昔何曲かコピーした事ありますね。
久しぶりに聞きましたが、今でも変わらない演奏で安心感を感じました。
Bill Frisell
Live
Bill Frisellは80年代からPaul Motianのバンドでジャズの演奏を数多くやっていまして、そちらも非常にお勧めなのですがここでは初期の代表曲を集めたライブ版をオススメします。
Billの頭の中を覗いた様な演奏と言うか、彼特有の音楽が表現されています。
MCで軽く喋りますが語り口がギターの演奏と本当に一緒なんだなと思った事がありますね。
アイデア、音色、奏法、曲もオリジナリティ溢れていて素晴らしいです。
Unspeakable
Bill Frisellは非常に多作家なので紹介するアルバムは数多くあるのですが、後期のグラミー賞を取ったアルバムを紹介します。
2000年代以降のBill Frisellと言うのはアメリカではジャズギタリストの枠を超えてアメリカのルーツミュージックを体現する巨匠みたいな立ち位置に変わっていまして、
NYのリンカーンセンターで他ジャンルの巨匠とセッションライブみたいな物を行うとか、文化活動みたいな趣が強いライブが多いです。
日本では考えにくいですが、アメリカだとBill Frisellの知名度は相当なもんです。
このアルバムはそういったアメリカンルーツミュージック路線でグラミー賞を受賞したアルバムですね。
John Abercrombie
John Abercrombie / Marc Johnson / Peter Erskine
John Abercrombieは主にECMで録音を残して来たギタリストです。
ECMのイメージそのままのギタリストと言った感じで私はこのアルバムと、次に紹介するアルバムのイメージが強いです。
このアルバムはJohn Abercrombieのアルバムでは珍しいジャズスタンダードを演奏していて取っ付き易いですね。
抽象的でECM的な演奏と言う感じなんだけど、ギターっぽいパンチもあって良いアルバムです。
一時期非常に聞いていました。
Sargasso Sea
このアルバムはラルフタウナーとのデュオです。
ECM的インプロヴァイズと言うか、こう言った音楽の先駆者みたいな感じですね。
今聞くとこんなコンセプトの演奏あるよなあですが、この当時はこれが最初だった訳ですね。
歴史的名盤です。
Kurt Rosenwinkel
East Coast Love Affair
80年代までのコンテンポラリージャズのギタリストが
と言うのは上記に書きましたが、それはKurt Rosenwinkelの登場で書き換えられました。
ここから先のコンテンポラリージャズはジャズもロックも全てが一体になった物として存在している感じで特定の音楽のスタイルとの融合を感じさせると言う事では無くなりますね。
自分もそうだから良く分かりますが、ギター始めた時に既にモダンジャズもロックもコンテンポラリージャズも同時に存在している為に何かスタイルを上書きすると言う感覚では無いのだと思います。
Kurt Rosenwinkelはジャズギターのスタイルとしてはかなりオリジナリティがあるパイオニアで、一時期NYではKurtのそっくりさんだらけになりました。
このアルバムはSmallsにしょっちゅう出てた初期の演奏をそのまま捉えた名盤です。
基本的に今と全く変わらないと言うか、最初から完成形だったのだと思わされます。
The Next Step
初期からの流れのMark TurnerとKurt Rosenwinkelの双頭カルテットの決定版みたいな感じです。
今でも名曲とされる曲やアンサンブルも最高の感じで録音されています。
このアルバムのZhivagoと言う曲はここから10年位はコンテンポラリージャズのアイコンの様な曲になりました。
とにかくジャズギターの帝王が入れ替わったと言うか、カート以前、以後でギタリストの毛色も異なると言う位2000年代からはカートの時代となりました。
Peter Bernstein
Earth Tones
Peter Bernsteinはコンテンポラリー系ながらもモダンジャズの影響を色濃く感じさせる稀有なギタリストです。
一緒にやるメンバーは最新鋭のジャズミュージシャンなのですが、ジャズってこう言うのが良いんだよな・・・と思わせるジャズを演奏します。
ギターのサウンドも一切ノンエフェクトと言う潔さで他のギタリストとは違うサウンドになっていますね。
このアルバムはその後もずっと一緒に演奏するBill StuartとLarry Goldingsのオルガントリオです。
その後も沢山演奏する有名曲も多く一枚だけと言うならこれをオススメしますね。
HEART’S CONTENT
このアルバムはBrad Mehldau(p)Larry Grenadier(b)Bill Stewart(ds)とのカルテットです。
最強のメンバーで繰り広げる良い感じのジャズ・・・と言う感じです。
トラディショナルを感じさせる演奏なのに、コンテンポラリーな楽曲やメンバーと演奏しても良い感じの演奏に持っていけると言うかなり凄いギタリストですね。
クオリティは最高ですね。このメンバーなら悪い訳無いと言う演奏です。
Adam Rogers
Art of the Invisible
最初に存在を知ったのはMilchael Breckerのバンドで見たんですが
それ以前のキャリアも日本のポップスバンドのDreams Come Trueにバックバンドで参加していたりスタジオ系でも演奏していた様です。
クラシックギターも上手くてガットギターの演奏も巧みです。
逆アングルピッキングで繰り出されるピッキングの上手さも異常で、譜面も超強そうでどんなジャンルも演奏出来て、ジャズギタリストで仕事の出来る感ナンバーワンですね。
このアルバムは自己の作曲がメインのバンドですね。
何処をどう切り取っても完成度の高いコンテンポラリージャズ!と言う感じです。
Sight
このアルバムはギタートリオのアルバムです。
シングルトーン中心でグイグイ展開する感じですね。
まぁとにかく上手い。さまざまなシングルトーンの技法も全部入りって感じでしょうか。
1曲ガットギターでの演奏が入っていますが、それも上手い。
NYのヴィレッジヴァンガードでピーターバーンスタインのトリオを見に行ったんですが、隣に座った人がAdam Rogersでちょっと話した事があります。
Ben Monder
Dust
ミュージシャンズミュージシャンの筆頭の様な感じで一般的な知名度はあまり無いですが実力は物凄いです。
長らくMaria Shniderのビッグバンドでギタリストを務めていましたし、色々なジャズミュージシャンのサイドマンとしての参加も多いです。
コードワークに関してはジャズギタリストでNo1と言っても良くとてつもないレベルに達しています。
かなり職人系の匂いがするギタリストですね。
このアルバムはサイドマンが多いBen Monderの最初のリーダーアルバムです。
とにかく非常に高度かつ洗練されたコードワークです。
もはや同業のプロが聞いても何やってるのか分からん・・・と言うレベルにあり、独特の世界になっています。
Oceana
こちらは最新アルバムです。
とにかく独自の世界をこれでもかと突き進んでいく感じですね。
一曲ジャズスタンダードが入っていますが、凄い事になっています。
私はかなり好きでコピーとかもしていたんですが「本当に弾ける?」と言ったワイドストレッチのコードが頻出していました。
初めてNYでライブを見た際に、楽屋からヌッと現れた大男を見て理由を理解しましたね。
190センチ以上あって滅茶苦茶背でかいです。そして手も大きかったです。
Lage Lund
Unlikely Stories
泣く子も黙るセロニアスモンクコンペティションで優勝した、カート以降の正統派スターと言う感じです。
カート以降の方向性を発展させた様な音楽を展開していて、コードワークに関してはコンテンポラリージャズ業界で1、2を争う実力です。
自分がNYに行ってギターを習った人でもあります。
Lageもノルウェー出身で非英語圏の人なので分かりやすく喋ってくれて分かりやすいレッスンでした。
Unlikely Storiesは作曲、ギタースタイル共に一旦の完成形になった感のあるタイミングで出したアルバムで本当に最先端といったジャズギターが聞けます。
Idlewild
IdlewildはLage Lundが得意なギタートリオのフォーマットで出したアルバムです。
彼の得意なコードワークやカウンターポイントがたっぷり聞けます。
ジャズギターの最先端をまだまだ開拓していってる様な演奏で、書き譜で時間かけてアレンジしたかの様なアレンジでテーマなんかを弾いてます。
凄すぎですね。
Mike Moreno
First in Mind
コードワークというよりシングルラインと作曲で魅せるタイプのギタリストです。
このアルバムも素晴らしい曲とインプロヴァイズが堪能できます。
かなり野心的なギタリストでコロナの中でも配信ライブ等積極的にやっていました。
私はNYでギターを習った事がありますが凄い理想の高さとストイックさでした。
譜面台にボロボロのパーカーのオムニブックがあって、自分にも人にも厳しい・・・と言った人でしたね。
Lotus
作曲もギターのテクニックも音色もまた一皮剥けた感じのアルバムです。
元々が良い曲書いてる訳で、更に良い曲って難しいと思いますが凄い事になってるなと思いました。
色んな音楽の影響をひとつの音楽に昇華していく姿勢は凄いですね。
時代をリードして行くギタリストと言って間違いないアルバムです。
Gilad Hekselman
Splitlife
特定のフレーズを持たないと言うちょっと変わったコンセプトを持ったギタリストです。
初期のアルバムと言えばこれですがドラムのAri Hoenigのリズムコンセプトにがっつりはまって相棒化しています。
モチーフ展開とリズミックディスプレイスメントと言うリズムずらしの技法を多用していますね。
その他にもインタープレイを音楽のメインに置いた展開のさせ方とかAri Hoenigの存在というのはGiladにとって大きかったと思いますね。
Ask for Chaos
とにかく沢山のフォーマットで演奏するギタリストで、その総てで音楽的でアイデア溢れる演奏をしています。
ここではベースレスの編成ながらキーボードとベースを負担しあうと言うバンドですね。
この音楽的な守備範囲の広さと特定のフレーズが無い柔軟さとインプロヴァイズ能力の高さが素晴らしいですね。
Jonathan Kreisberg
The South of Everywhere
Jonathan Kreisbergは元メタラーなギタリストですね。
異常に強度が高いフィジカルとか、凄い音数でシーケンスフレーズ弾いたり相当なテクニシャンですね。
リズムは非常に頭ノリであったり、あんまりジャズっぽく無い要素も多いんですがES-175を使ってるのでウォーム でトラディショナルなトーンと言うのは結構ジャズに聞こえる要素かなと思います。
もう一つ特色がある点として作曲が非常に優れています。
非常にコンテンポラリージャズとして良い曲が多いですね。
オススメです。
Shadowless
作曲がまたクオリティが上がってとにかく良い曲揃いになったアルバムです。
自分が一番カッコよく弾ける曲を書く人と言うか、そう言う意味ではPat Methenyみたいな感じですね。
1曲目とか変拍子も合わさってかなり高度ですが、かっこいいですね。
そうしたテクニックを前面に押し出した曲作りも上手いです。
Julian Lage
Sounding Point
ここ数年とても人気が高いギタリストです。
特にジャズ以外のフィールドでも人気が高いのが特徴で、ギターを聞いてもビバップ臭と言うのは殆どなく初期はコンテンポラリージャズ系と言った印象でしたが、
近年はアメリカンルーツミュージック系のギターに振り切っていてかなり面白いコンセプトのギタリストに変貌しています。
このアルバムはLinda Manzerのフルアコ時代のアルバムです。
ギターっぽくないアルバムなんですよね、楽曲重視でかつ室内楽的な感じ。
これが最初のリーダーアルバムですが、この路線のアルバムはこれが最初で最後ですね。
Live in Los Angeles
テレキャスター時代のアルバムです。
カントリーとかブルーグラスとブルースロックに振ってきているんですよね。
それがコンテンポラリージャズの土俵で調理されると言うか。
元々ギターの技術がとんでもなく上手いのでクランチトーンでギターの音色変化やダイナミクスの大きさも凄く上手く使ってて
その辺りも今までのジャズ的な要素ではないものがありますね。
超絶に上手いんだけど、技術を見せてる感じにならないのも凄い。
オススメです!
Wolfgang Muthspiel
Real Book Stories
この方はオーストリア出身のギタリストですね。
バークリーで教えてるミックグッドリックと言う伝説的な教授が、過去教えた中でナンバーワンと言った人です。
このギターテクニック歴代最強、音楽性も最強みたいな人がNYで大成功せずに地元に帰ったのも非常に考えさせられる事だなと思います。
ところが数年経ってオーストリア在住ながらツアーやアルバム発表等世界最高峰のメンバーと素晴らしいアルバムを作りツアーも結構やっています。
何処に住んでいてもこのクラスの活動が出来るのだなと思った1人ですね。
Air, Love & Vitamins
このアルバムも大好きでいっぱい聞きましたね。
曲もプレイも最高ですし、メンバーも最高ですね。
この1曲目とか大好きです。
曲も良くてタイムも良くて、ギターを弾くと言う行為がまじで上手い。
普通はこんだけ上手かったらテクニカルに聞こえたりしますが、音楽性が高いのでテクニカルな感じが前面に出てる感じも無いんですよね。
最強かよ・・・
オススメです!
まとめ
最初はもっと規模が少ない予定でしたが、書いてたらあれもこれもと出てきて15人30選になってしまいました。
まだ紹介したい人もいますが、まずは紹介したギタリストを是非聴いてみて下さい!