Drop2 Voicingはジャズの定番のヴォイシング方法で、まず覚えておきたいコードの弾き方です。
この記事では
Drop2 Voicingが弾ける様になる過程を5つのステップで説明しています。
とにかくジャズを弾く上では超重要なコードワークの方法ですので、是非最後までお付き合い下さい!
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コードワーク以外もジャズなソロが弾きたくてシングルトーンに興味がある方はこちらの記事がオススメです!
Drop2 Voicingとは?
Drop2 Voicingは4way close voicingの上から2番目の音を1Octove下げたVoicingです。2番目の音を下げるからDrop2と言う事になっています。つまりクローズボイシングをオープンにするヴォイシングのテクニックがDrop2と言います。
Drop2の何が良いのか?
ジャズのハーモニーの世界を表現するのにDrop2は非常に優れています。
- 弾きやすくて、音のレンジが適当である
- 様々なエクステンションを入れやすく変化させやすい
- 代理和音に置き換えた時にサウンドさせやすい
- メロディーをハーモナイズしやすい
- ロジックを知る事で自分でコードフォームを生成出来る
等がDrop2の利点かなと思います。つまり
と言う事ですね。
Drop2 Voicingの作り方
まず元となるVoicingを見て見ましょう。
4way Close Voicingと言ってボトムからトップまでが1octove内で構成されたコードです。
そしてVoicingはひとつではなく、ひとつづつ音が繰り上がって行き全部で4つ存在します。
と言います。転回の事はInversionと言います。略してinv。
これが4way close voicingですね。ボトムの音がひとつづつ繰り上がって(転回されて)4つのVoicingが出来ました。
それでは上から2番目の音を1Octove下げます。
こうなりました。これがDrop2 Voicingですね。ひとつづつ詳しく見て行きましょう。
実際のポジション例
ここからは実際のポジション例です。
Cmaj7
これがCmaj7で弾けるDrop2 Voicingの形ですね。基本的には4種類あって、その4種類を6弦、5弦、4弦ルートがあります。
C7
C7です。これも6弦、5弦、4弦ルートがあります。
C-7
C-7です。これも6弦、5弦、4弦ルートがあります。
C-7b5
C7です。これも6弦、5弦、4弦ルートがあります。
Cdim7
Cdim7です。これも6弦、5弦、4弦ルートがあります。
初めてこういったVoicingを弾く方はまずコードのルートから始まらないフォームがこんなにあるのかと思うかもしれません。
そして最低音がコードのルートではないので何のコード押さえてるのか良く分からないとかもあるかも。そこは「俺は3度ボトムのCmaj7を弾いているんだ」と思ってください。最低音がEでもGでも転回形を弾いてたらCmaj7です。
Drop2 Voicingはジャズギターでは代表的なそして、必須とも言えるヴォイシングです。是非覚えてみてください。
Voice Leadingとは?
Drop2 Voicingに限りませんが和音の連結を上手くやる為にVoice Leadingと言うモノを知る必要があります。
例えばDm7-G7-Cmaj7と言う進行だけでも1つのコードに対して4つのインバージョンがありますから4x4x4の64通りもの組み合わせがあります。全部が音楽的にスムーズと言う訳ではありません、そこでVoice Leadingが必要になります。
を言います。まさにジャズギターの枠を超えて音楽の醍醐味と言っても良い位の要素で、Voice Leadingは非常に重要です。
音と音とを繋ぐと言うのは、それそのものが音楽と言っても過言ではないものなので、そこにはセンスも経験もその人の音楽感が総て出てしまう位のものです。
Voice Leadingを出来る様になる色々なエクササイズ
そんな超大事なヴォイスリーディング。これを上手く出来なければ幾らコードをいっぱい知っていても意味がない!と言う事になってしまいます。そこでVoice Leadingを出来る様になるエクササイズを色々と紹介します。
まず手始めにDrop2 VoicingでDaiatonic Chordを使ったVoice Leadingをやってみましょう。
Voide Leadingのルールは
と言う二点です。
勿論実際の演奏では自分がかっこいいと思った所に音を紡いでいけば良いですが、これは練習なので声部の変化が少ないVoicingを見つける。コモントーン(共通音)が多いVoicingを見つける。
と言う様な能力を鍛える練習です。そうして滑らかに音を繋げられる様になると実際の演奏にも役に経ちますよ。
Drop2 Daiatonic Voice Leading
クリックに合わせて弾けると良いです。推奨テンポ50位。速く弾く必要は無いので各弦の音量バランス、音色、音の長さ、タッチ等ケアして弾くと尚良いです。
こういったシンプルなものを美しく弾くのは逆に難しく、良い感じで弾ける人はとてもギターが上手いと思いますよ。
Drop2 4th Cycle Voice Leading
4th Cycleと言うのは4度進行です。5度圏を逆時計回りに回る感じ。そしてMaj7だけでVoicingしています。
では見て行きましょう。
なんかかっこいいサウンドですね。他のメジャーなコードクオリティも同様にやると良いです。
練習のバリエーションとしては
- Maj7
- 7th
- -7th
- -7b5
- dim7
と言うメジャーなコードクオリティはやってみるのがオススメ!
Drop2 Diatonic 6th Cycle Voice Leading
Diatonic 6th Cycleと言うのはDaiatonic Chordの中で6度進行と言う事です。つまりCmaj7 Am7 Fmaj7 Dm7 Bm7b5・・・と言う様な進行になります。1音づつ変わって行くだけなのに、次のコードのインバージョンになっていると言う、音楽の機能美ここにありてきな美しさですね。
ではやってみましょう
Drop2 Diatonic 4th Cycle Voice Leading
Diatonic 4th Cycleと言うのはDaiatonic Chordの中で4度進行と言う事です。つまりCmaj7 Fmaj7 Bm7b5 Em7 A7・・・と言う様な進行になります。
4th Cycleは3rdか7thのBottomのInversionで始める形と、Root,5thでスタートする形で出てくるVoicingが異なります。とても美しいサウンドで、整合性の高さが素晴らしい。
まずやってみましょう。
これは3度ボトムの1st invからスタートした形です。4度進行なのでボトムが3度、7度の順で現れますね。
こちらはRoot invスタートです。出てくるボトムはルート、5度の順ですね。
両方とも美しいですねー。こういったエクササイズを弾いてる時に気に入ったVoicingとか、Voice Readingとか見つけたら覚えておくと今後自分がVoice Readingしていく時にとても良いです。
Drop2 Diatonic 2nd Cycle Voice Leading
これは2nd Cycleです。
コードは2度づつ上がって行っていますが一番近い音を選んでVoice Readingしていくと下がって行きます。
ではやってみましょう
2ns Cycleは上記の1周するだけで全てのInversionが出てきますね。
Drop2は単体で弾いても余り良い響きだと思えないVoicingもあると思います。しかしこうやって良く出来たヴォイスリーディングの中に入ってると凄く良いサウンドになったりします。
逆に余り好きな響きで無いからと練習しとかないと、インプロヴァイズしていて流れ上そのVoicingが明らかに最適って瞬間があったりして、弾けなくて悶絶したりもしますね。
と言う事で万遍なくやっておくと、思わぬ所で良い感じで弾けたりするのでオススメです。
少しづつ実践してみる!Two Five Oneに当てはめてみよう!
次はもう少し実践的に実際のコード進行に当てはめて運用してみます。
Key=Cのツーファイブワンである、Dm7- G7-Cmaj7です。
それぞれRootからヴォイスリーディングして行くのから転回して4つ紹介します。
では見ていきましょう。
Root inv から始める場合
D-7をRoot invからVoice Leadingするとこうなります。ボトムを見るとルート、5度、ルートって流れですね。
1st inv から始める場合
D-7を1st invからVoice Leadingするとこれ。ボトムを見ると3度、7度、3度。
2nd inv から始める場合
D-7を2nd invから始めた形。ボトムを見ると5度、ルート、5度。
3rd inv から始める場合
D-7を3rd invから始めた形。ボトムは7度、3度、7度ですね。
以上の4種類ですね。ツーファイブワンの様にコードが4度で進行していく場合ボトムの動きが規則的に現れます。どれも一番基礎的な形なので抑えておきたいですね。
練習のバリエーションとしてはこれは5弦ボトムだけのセットなので
- 6弦ルートのセット
- 4弦ルートのセット
上記のポジションもやっておくと良いと思います。
枯葉をDrop2でVoice Leadingしてみよう
Drop2 Voicingを使って枯葉の最初の8小節のコード進行でVoice Leadingをしてみましょう。
枯葉の最初の8小節はメジャーのツーファイブとマイナーのツーファイブを含んでいる進行なので練習に最適です。
ではやってみましょう。
Root inv から始める場合
まずは最初のC-7でRoot invからスタートです。その後はVoice Readingの基本ルールに従っています。
1st inv から始める場合
1st invの3度ボトムからです。
2nd inv から始める場合
2nd invから。個人的にはこれ一番好きです。実際良く弾いてますねー。-7thの5th rootってのは中々ロマンチックですよ。
3rd inv から始める場合
3rd inv。7度ボトムからですね。
以上の4種類です。始めるInversionが違うと全部違う形になるって事ですね。シンプルなだけに力強いサウンドと言うか、いろいろやってみたけどこれが一番カッコよかったみたいな事もありそうです。
枯葉は4度進行が中心なので流れでVoice Leadingしてくとレンジが下がる一方です。ですので途中でレンジを乗り換えたりしても良いと思います。
途中でレンジを乗り換えてみる
5小節目のマイナーツーファイブの頭でレンジを変えてみます。
下がるのではく上げてみる
違うアイデアとしては下がる一方ではなく上がるやり方もあります。
この場合は今までVoice Leadingで使ってきた
- 一番近い音に連結する
- コモントーン(共通音)があればキープする
と言うルールからはそれますが実際には自分がカッコいいと思う方向でOKです。
All the Things You AreをDrop2でVoice Leadingしてみよう
では実際の曲で運用と言う事で、All the things you areのコード進行を使ってDrop2 VoicingでVoice Leadingをしてみましょう。
基本的なVoice Leadingでやってみよう!
まずは基本的な感じでやってみましょう。
美しいですね。これでも充分良い感じ。レンジは切りの良い所で乗り換えたりして弾いています。レンジを切り替えるタイミングは4小節とか8小節とか切りの良い所が一般的でキャッチーだと思います。勿論自分のセンスで良いです。
何故レンジ変えなきゃいけないのか?と言うのはバンドでベースがいる場合ですと、低音域に行き過ぎたヴォイシングはベースとバッティングする場合があります。この辺は経験してトライアンドエラーで積み重ねるしかありませんが、現場でなんかバッティングしてると思ったら音域変えてみるとか必要になるかもしれません。
少し発展させてみよう!
次に二分音符でやってみましょう。上がったりも併用しつつやってみます。
より実際の演奏に近い感じになりますね。
実際のコンピングはこう!
では実際にリズムをつけてコンピングしてみましょう!
このようにDrop2で展開したりしてリズミックにコンピングしたら充分本番で使えるコンピングになりました!
この調子で何曲かやれば貴方もジャズギターのコードワークが弾けるって言っても過言じゃ無い!
と言う事でジャズギターの超重要ヴォイシングであるDrop2 Voicingの紹介でした。
自分の歌として出てくるまでには時間がかかりますので何度もやって頭の中でサウンドが鳴るまで続けるのがオススメです!
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